民法から見た敷金清算

不動産賃貸借の先取特権 敷金

不動産賃貸借の先取特権に関して、民法は敷金という特別な規定を設けています。

民法の中での敷金の規定は不動産の賃貸借において敷金が、賃貸人(大家)の先取特権を認める要件として、 賃貸人が敷金を受け取りたる場合においてとあります。

これはいうまでもないことですが、大家さんが受け取った敷金についてのみ先取特権が認められるということです。

大家さんが受け取った敷金についてのみということは、極端な話、例えば連帯保証人に預けた敷金については賃貸人の先取特権は存在しないということ。

ここで問題になるのは、不動産会社が敷金を預かる場合。

大家が不動産会社の社長個人で、家賃や敷金を不動産会社が管理するというパターンは時々見受けられます。

この場合、預けた敷金に賃貸人の先取特権が認められるのでしょうか?

民法の規定をそのまま解釈すれば大家が敷金を受領していなければ先取特権は発生しません。

しかし、きちんとした不動産業者であれば、大家の代理人として、家賃、敷金を受領するという文言が賃貸借契約書に入っていると思います。

大家さんの代理人として受領していれば、それは大家さんが受領したのと同じ効果が認められます。

しかし大家さんが受領したということが認められないとき、先取特権は発生いたしません。

そう考えてよいと思います。